工場裏の宇宙ネコ
2.宇宙ネコ
私は宇宙ネコに、クッキーの四角い空き缶を使って、玉転がしゲームを作ってあげた。

迷路に所々穴が空いていて、手で傾けて玉を落とさずにゴールまで転がしていく。
単純だけど意外と面白いゲームだ。

『コロコロ?
 これくれるの?』

宇宙ネコは初めて見るらしく、
暇さえあればずっと玉を転がして遊んでいた。

『この丸きれい!
 なんていう丸?』

丸とは迷路の玉の事だろう

「それかい?
 ビー玉だよ」

『びーだま…
 びーだまかぁ!』

宇宙ネコはビー玉を指でつまんで目に近付け、窓の外を見たり、部屋の物を見たりしていた。

「ビー玉面白いかい?」

『これ!
 宇宙ネコの宝物にするの』

そう言って宇宙ネコはビー玉をつまんだまま、クッキーの空き缶の迷路をゴールまで這わせた。

「ちょっと出掛けてくるよ、
 夕方までには戻るから」

『行ってらっしゃいませ』

宇宙ネコは手を振った。
< 15 / 175 >

この作品をシェア

pagetop