工場裏の宇宙ネコ
ボクの座った操縦席には、1本の変な棒がニョキっと伸びている。
その1本の棒の先に、魚の模型の様な物が付いていて、それにいくつもの何かのレバーがついている。
どう考えても、この変な棒で操縦するのだろう。

「操縦席のレバーを簡単に説明するとね
 この大きいのが出力を調節するレバー
 その先についてる魚のシッポとか、ヒレを動かして操縦するんだよ

 ま、適当にいじってれば何とかなると思う
 あの鳥の羽よりは簡単だから、ゆっくりやれば大丈夫だよ」

<適当にいじってれば何とかなる>って…、かなり不安だけど大丈夫なのかな。

「準備はいいかな?
 じゃぁ始めようか」

「はい
 じゃぁレバーをゆっくり前に倒して
 方向は魚のヒレを動かせば変わるから」

「あ、うん」

操縦って魚の模型をいじるのか、ボクが思っていたのと全然違った。
もっとレバーをガシャンガシャンと動かすのかと思っていたから。

ボクはネルビーに言われた通り、ゆっくりとレバーを前に倒した。

船は静かに揺れて、窓から見える景色がゆっくりと動いた。

『わぁ~動いたの』

宇宙船の下に付いている車輪が回転しているのが、船の壁を通して伝わってきた。
この宇宙船は全くの無音で動いている、知識のないボクでもそれが凄い事なのだとわかる。

<希望の魚>は、ゆっくりと進みやがて建物の外に出た。

「じゃぁね、
 ヒレを水平にして、レバーをもう少し倒してみて。

 ヒレを水平にすると垂直に上がるから、
 その状態で後は角度を調節すれば色々な動きが出来るよ。

 宇宙と違って地上には風があるから、
 窓の外のヒゲを頼りにシッポを動かして調節してね」

窓の外に出ている魚のヒゲらしいものが風になびいている、このヒゲは風の方角を知るためのものか。

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