工場裏の宇宙ネコ
ボクは緊張しつつ、ヒレを水平にしてレバーを更に前へと傾けた。
すると、船体に伝わっていた車輪からの振動が消えた。

つまりこれは、船が浮き上がったのだのだろう。

浮き上がったものの、徐々に見える景色が変わっていく、風の影響を受けて宇宙船が回転している様だ。
ボクはシッポの角度を試行錯誤して、真っ直ぐ進む様に調整した。

「結構うまいじゃない
 いきなりで、これだけ出来ればもう完璧だよ」

「ふぅ~…
 でも緊張するなぁ」

「君たち、歯車市の駅まで飛んでみようか
 みんな驚くぞぉ?
 わし等の研究をたくさんの人に見てもらえるしな」

「あ、いいですね~ソレ!」

『わたし高いとこ大好き』

博士は宣伝を兼ねた試運転を提案した、確かに巨大な魚が空を飛んできたらみんなビックリするだろうな。
ボクもワクワクして賛成した。

ボク達の<希望の魚>は空高く上がり、見る者の心にトキメキを与えてゆく。

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