工場裏の宇宙ネコ
「あの工場裏に、ココロが住んでいた理由は何ですか?
 捜し物があるのなら、工場に居た方がよさそうなのに」

「それなんだけどね
 ココロちゃんは、最初は門の周りにいたんだ
 しかし、ある問題が起こるようになってしまったんだ」

ボクはうっかりココロの能力を忘れていた。

「あっそうか…
 何が起こったか大体わかりました」

「そうなんだ
 門の近くで作業する者に変化が起こってね
 仕方なく問題が解決するまで、
 ココロちゃんには離れていてもらったんだよ」

「あの工場の当時の警備の方の話によると
 ココロが工場裏に住みだしたのはもう少し後らしいですね
 それまではどこに居たんですか?」

「博士が駅の近くに住居を手配してくれてて
 そこに住んでいたそうだよ」

駅の近くか、もしかすると結構ボクの近くにいたのかもしれないな。

「ねぇ、その時にココロが住んでいた所って
 あの事務所と近かった?」

『うん、近いよ
 走れば息をガマン出来る位なの』

「そうだったんだ
 なら会ってても不思議じゃないのに…」

あれ…?

ボクはふと、過去にココロと会っていたかもしれない気がしていた。
そんな気がするんだけど、確実な記憶は思い出せない。
何かひっかかる様な気はするんだけど、ただの気のせいなのだろうか。

ボクは6年程前に、あそこであの事務所を始めたんだ。
あの頃はよく仕事に失敗してたっけ…。

ボクは未熟な頃を思い出し、頭を抱えて唸りたくなった。
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