工場裏の宇宙ネコ
「ふぅ~!」

そこに、勢い良くドアが開き博士が戻って来た。

「あっ、博士!
 どこに行ってたんですか~!
 工場長もとっくに帰っちゃいましたよ」

「すまんすまん!
 博士ね、ちょっと閃いちゃったんだよ
 ごめんね?」

博士は片目をつぶってウィンクしながら、左手の人差し指を立てキメのポーズを取って言った。

「…あの…何をですか?」

「ふふん、キミはわしがひらめいたものが
 なんだと思うかね?思うのかね?」

出たな、博士が二回くり返して言う時は、何かしたくてしょうがない時に決まっている。

「まぁ、引力の事ですよね
 あのタイミングですし」

ネルビーはそっけなく答えたが、

「そうッ!
 さすがネルビーくん!
 今日も冴えまくってるね~!」

博士はこんな調子だ。

「わしの仮説はこうだ

 引力とは、川の流れの様なものであり
 宇宙船やロケットは、まさにその流れに逆らう魚である」

「はぁ‥魚ですか」

当然の様に、ボクには全く理解出来ない話だった。

「なるほど
 引力が流れる川の水って素晴らしい表現ですね」

ネルビーは理解してるらしい、それを見て博士はうんうんと頷いた。

「あッ、博士もしかして!
 川に行ってきたんじゃないですか?」

「おぉ、よく分かったね!
 やっぱ冴えてるなァ!」

博士の足元を見ると、膝あたりまでびしょびしょに濡れていた。
一体、博士は川で何をして来たんだろう。
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