工場裏の宇宙ネコ
少しして、折り紙がカサッと動いたかと思うと、全ての折り紙がわさわさと羽に吸い付いた。

『うわぁ~、面白いの!』

「びっくりした~」

「やった…!」

「うん、いいね!
 ネルビーくんよくやった!」

「ありがとうございます!
 博士の仮説のおかげですよ
 ボクはただ逆にすればいいだけだと思ってましたから…」

博士はもしかすると、ネルビーが引力の解決の話を持ちかけたから、実験をネルビーにやらせたのだろうか。

二人の様子を見て、ポカンとしているボク達に博士は言った。

「おや?
 キミ達には、今の面白いのがわかったかな?」

『折り紙がくっついた事が面白いの?
 笑った方がいい?』

「いや、凄そうなのは分かりますが…」

「じゃぁ詳しく説明しようか?
 今のは何が面白いのかと言うと…」

「いぇ、せっかくだけど遠慮します」

「うそうそ
 実を言うとわしもまだ、よく解ってはいないんだよ
 こりゃ楽しみがまた増えたわい」

ふぅ、解ったとしても詳しい説明は遠慮したいな。
変な情熱をぶつけて来ようとするあたりは、ちょっとグレサトに似てる気がした。
やっぱり、彼らは同じ種類の人間なんだろう。

「ネルビーくん
 大至急、宇宙船の底に貼り付ける分を工場に特注してくれ」

「わかりました
 ちょっと行ってきます!」

ネルビーは、急ぎ足で研究室から出て行った。

「ネルビーって今から工場まで行くのですか?」

「いや、あの通信用の箱があっただろう?
 試験的に通信室を作ったんだけど
 連絡はそれで全部出来るんだよ
 おかげで超便利!」

「そ、そうなんですか
 早速活躍してますよねぇ
 やっぱ凄いなぁ…」

博士は表向きはふざけた人だけど、この世界への貢献度は大きい。
こういう人達が世界を作ってるんだろう、この博士に関しては、素直に関心すべきか悩む所だけど。
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