工場裏の宇宙ネコ
『ねぇねぇ
 どこまで声が届くの?』

ココロももうあの箱を理解した様だ。
つい最近まで<箱の中に誰か入っている>と、思っていた様だけど。

「うん、そうだなぁ
 今のとこ、届かなかった所はまだないんだけどね
 計算上はこの星なら、どこにでも届くんじゃないかな?」

「じゃぁ宇宙にも届くんですね?」

「うん、方法と条件次第でね
 ネルビーくんが、宇宙船の位置をここに報告してくれる事になってる
 こっちはその方角に、アンテナを動かして送るんだよ
 別の星に行く場合は、1日の半分は届かない時間があるけどね~」

「大丈夫かなぁ・・」

「何かあったら降りて来ればいいし
 今回はずっと、この上にいてもらう予定だから
 まぁ、大丈夫だと思うよ」

そう言って、博士は天井を指差した。

断定ではなく「思うよ」なのが気になったけど、ロケットは作りなれてる博士だしきっと大丈夫だろう…と思うことにした。

そういえば、ボク達は予定がどうなってるかを聞いてなかったな。

「博士、宇宙に行くのっていつですか?
 わりとすぐかなって感じはしてましたけど」

「あ、ごめん言ってなかったっけ?
 3日後だよ」

『やった~!
 楽しみなの!』

「よかったねココロ…って
 3日~~~ッ!?
 もうすぐじゃないですか!
 間に合うのかな・・」

後一週間位だとばかり思ってたらとんでもなかった。

「一応はもう全部出来てるからね
 グレサトくんの食事なんてあってもなくてもいいし

 キミとネルビーにはチョコレートで
 ココロには煮干でいいと思ってたから」

『わたし煮干大好きなの!』

あってもなくてもいいって…グレサトって期待されてないのかな。

そう言えば、今夜はグレサトが旅館ねじに晩御飯を食べに来るんだったっけ。
窓の外を見ると、日が傾き始めそろそろ夕方の景色になっていた。
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