工場裏の宇宙ネコ
「あのさ、宇宙ネコさん?」

『あぃ?』

おかしな返事をして宇宙ネコは振り向いた

「キミの名前ってさ
 その、何て言うんだい?」

『名前?
 わからないの
 宇宙ネコはわからない事だらけなの』

「そうか
 うーん・・
 名前あった方が呼びやすいんだけどな」

『そうなの?
 こまったの
 宇宙ネコはこまってしまったの~』

両手を頭の上に乗せて、
縮こまった様子は余り本気で困ってる様には見えなかったが

『そうなの!
 コレ!
 コロコロがいいの!』

宇宙ネコは私が空き缶で作った、
迷路のコロコロを手に持ってそう言った。

「えー・・それは名前として成立するのかどうか・・

 あ、そうだ!

 ロを1つ抜いて<ココロ>で、どうかな?」

『ココロ!
 宇宙ネコはココロなの!』

宇宙ネコはとても嬉しいらしく、
両手を上に上げ大きな声でそう言うと、いつもの様に耳をくりんと回した。

偶然にしてはいい名前だった思う、
だって宇宙ネコは人の《心》の痛みがわかるんだから。
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