工場裏の宇宙ネコ
「そうかい?
 喜んでもらえるのがやっぱり一番うれしいねぇ」

「おかみさんは、
 ここは一人で切り盛りしてるんですか?」

「そうねぇ
 子供達もみんな大人になって出てっちゃったし
 何年か前に主人を亡くしてからはずっと一人ねぇ」

「お子さん達はたまには戻って来ないんですか?」

「たま~にね、ほんとにたまに会いに来てくれるわ
 この味が懐かしくなったって言ってね

 でも、みんな忙しいから仕方ないのよね
 私は子供達が立派に成長してくれればそれでいいの」

おかみは幸せそうな顔でほほえんだ。
< 70 / 175 >

この作品をシェア

pagetop