工場裏の宇宙ネコ
だが依頼を受けた以上、この調査は必ず全うする。

次に廃工場の従業員だった者をあたってみる事にした。

──まず1人目

それ程遠くない距離にいる事がわかった。

空き地の木陰でずっと過ごしている男は、かつてあの工場の警備員だったそうだが。

「…」

その男は、側で語り掛けてもまるで反応がなかった。
ただ、一点をぼーっと見つめ黙っている。

家族の話だと以前は声が大きく、そして煩い程よく喋る人物だったらしいのだが。

その後も関係者をあたってみた。

しかし、皆こちらの話などお構いなし。
まともに話の出来る状態ではなかった。

何人目だろうか、やっと話の出来る人物に行きあたった。
それは、イヌの獣人種の男で、工場では警備の仕事をしていたらしい。

今は近所の畑を警備している様だ。
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