工場裏の宇宙ネコ
「一言で言えばこの魚型のロケットは、
 空気を泳いで宇宙まで行けるんですよ
 その先の宇宙も方法次第で行けるはずです」

「驚いた・・
 この空気を泳ぐなんて事を考えるなんて」

するとネルビーはにっこり微笑んだ

「言うは簡単なんですけどね
 困った事に空気のエネルギーをうまく利用出来る確信はあるのですが
 論理的にも技術的にも足りないものがあります」

「足りないもの、ですか」

「えぇ、足りないものとは
 周りのエネルギーを味方にしてうまく利用する方法がはないのです」

私は何が必要なのかが何となくわかってきた

「つまりココロ・・ですか」

「今この時代には彼女の能力を使う以外は、実現出来る術は残念ながら・・」

博士は腕を組み黙ってネルビーを見ていた。

『ねぇ、
 このおさかなは宇宙行けるの?』

「はい、
 もちろん行けますよ
 この機体は博士の設計したものですから間違いなく」

そう、ココロは宇宙に行きたがっていた
椅子取りゲームに負けたあの星の行方を追う為に。

『わたし達
 宇宙に行きたいの』

そう言ってココロは耳をくりんと回した。

私たちはまだこの時、全ての歯車が動き出した事を知らなかった。
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