天使のいいなり
目の前にいる紗英さんを見て、つくづく思う。


明仁にはもったいないほどの美人だよなぁ。
友達だけど、どうして明仁と付き合っているんだろう?
これだけの美人、男が放っておかないだろうな。



「どしたの?夏目くん。ぼーっとして。」

「いや、どうして明仁と付き合っているんだろうって思って…。」


ヤバイ。思っていたコト、そのまま口にしてしまった。
もう少し、オブラートに包んだ聞き方があるだろ…。



「え?急にどうしたの?」


俺の意味不明な質問に驚く紗英さんだが、嫌な顔せず答えてくれる。


「うーん、あんなにバカ正直に好きって言ってくれる人、他にはいないって思ったから。明仁といると、飾らなくていいんだ。あたしが年上だってこと、すっかり忘れちゃうの。」



そっか…。
紗英さんの言葉に、説得力を感じた。

アイツ、バカが付くほどの正直者だからな。
嘘なんかつけるほど器用じゃないし、浮気なんてありえないもんな。


そこが明仁の良いところだ。
アイツの太陽みたいに明るく、真っ直ぐなトコロに、俺は何度も救われた。





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