天使のいいなり
断るヒマもなく、バレーコートまで連れてかれた。


こういうの、強制連行っていうのかな。

なんなのよ、この人。ガタイがいい分、余計に怖い。
この掴まれてる手だって、振り払おうとしたら、逆に骨折られそう。
別に毛深いワケじゃないけど、髪も薄っすら茶色く、デカイから熊みたい…。





「悠斗、お前ボール取りに行ってたはずなのに、ナンパしてたのか?」

「彼女欲しいからって、脅しはよくないだろ?」

「まさに、オオカミと赤ずきんちゃんの図だな。」


強引に連れてかれたバレーコートには、当たり前だけどジャージ姿の男の人がいっぱいいて、熊ジャージの人に話しかけてきた。

バレーボール使ってるってコトは、バレー部なんだよねぇ…。
みんなデカイんですけど。視線が頭に突き刺さって、怖いよぉ。




「そんなにみんなで寄って集って騒いだら、怯えるだろ?こんなヤツら気にしないで、ゆっくり見てって。」


ニコって私に笑いかけると、熊ジャージの人はコートに戻り、練習し始めた。


うわっ。
笑った笑顔が、すっごく印象的だった。
第一印象は怖かったけど、よく見るとやんちゃな男の子って感じで。





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