天使のいいなり
悠斗先輩は、その日下校時間になっても、図書室には現れなかった。




なんだ、こういうコトだったんだ…。


2人の姿を見せるために、私を図書室に呼んだんだ。
悠斗先輩なら、私がこの席に座って、窓の外見てるってコト、知ってるもんね…。

光莉ちゃんと歩いていたのが、悠斗先輩の答えなんだ…。




その夜、悠斗先輩からメールがきた。


『連絡遅くなった。今日は、行けなくてゴメン。明日必ず話聞くから、教室まで迎えに行くよ。』


目から、次々と大粒の涙が出てきた。
その日初めての涙。
泣かないって思ってたのに…。


残酷すぎるよ…。
悠斗先輩の気持ち、もう知っちゃったもん。



私は泣きながら、メールを返した。


『もう、大丈夫。迷惑かけてゴメンね…。』




やっぱり今日だけは、泣いていいよね。
卒業式のトキ、笑って悠斗先輩に“さよなら”と“おめでとう”を言うために…。




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