天使のいいなり
―――――――………


「里緒先輩。図書室から、あたしと悠斗のコト見てたんでしょ？こんなに簡単に引っかかってくれて、ちょっとつまんなかったかも。」


そう言われて、あのトキの一瞬振り返った光莉ちゃんの姿を思い出した。
光莉ちゃんは、私が２人を見てたって気づいてたの？



「あのトキ、悠斗はちゃんと里緒先輩のトコロに行こうとしてた…。」

そう言うと、光莉ちゃんは淡々と話し始めた。



話の内容は、こうだった。

光莉ちゃんは、朝に私が悠斗先輩と話しているのを見ていた。
悠斗先輩と私を会わせないように、悠斗先輩を待ち伏せして、目の前で具合が悪くなったと嘘をついたって。
優しい悠斗先輩は、光莉ちゃんを置いていくコトが出来なく、光莉ちゃんを家まで送って行ってくれたコト。
図書室では、私があの席に座るコトを知っていて、ワザと２人で歩いている姿を見せ付けたみたい。振り向いたのは私が見ているか確認するためだって…。



「里緒先輩の性格だと、図書室からあたし達の姿見たら、絶対勘違いするだろうって思ったの。悠斗に聞く勇気もないだろうし、自分の中に感情溜め込んで、終わるだろうって思ってたから。」



家まで送ってもらった後も、理由をつけて学校が閉まるまで戻らせないようにしたコト。

私に連絡をしないよう、邪魔したコト。





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