天使のいいなり
下を向いている私に、水野さんが優しく肩を叩いた。


「怒ってるってワケじゃないからな。早くいつもの里緒ちゃんに戻ってもらいたいんだ。だから、今日は頭カラッポにしてリフレッシュしといで。」



顔を上げると、水野さんはとても穏やかな顔をして、私を見てくれていた。

黒ぶちメガネに顎ヒゲがトレードマーク。
メガネの奥のつぶらな瞳を見て、じわっとなる。



なんだろ、私。
最近、涙腺めちゃめちゃ弱くなってるのかも。




水野さんの言葉に甘えて、バイトを上がろうとしたとき、カランコロンとドアのカウベルが鳴った。


お客さんかと思い入り口に目を向けると、そこにはつぐみが立っていた。
「やっほー。」なんて言いながら、手を振っている。


「つぐみってばどうしたの？」

「ん？オムライス食べたくなったから来たの。里緒もしかしてバイト終わった？だったら付き合ってよ。奢るからさ。」



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