天使のいいなり
タルトを食べながら、つぐみが口を開いた。


「実はあたし、瑞己くんから頼まれたんだよね。里緒が悩んでるって。俺じゃ力になれないから、話聞いてあげて欲しいって。」

「フルーツタルトも、彼からなんだ。」


おかわりの水を注ぎに、水野さんがやって来た。


「食べたらきっと笑顔になるからって。つぐみちゃんが力になってくれるから、つぐみちゃんにも食べさせてって。優しい子だね、瑞己くんって。」



瑞己が…?
一体いつこんなコト頼んでたんだろ。
全然気づかなかった…。

いつもは、私のコトからかってバカにして。
全然年上扱いなんかしなくって。


それなのに…。


つぐみや水野さんにお願いしてくれてたなんて。
あの瑞己が人に頭下げる姿、正直想像なんてつかない。

もう、意地悪なのか優しいのか、ワケ分かんないよ。

どれが本当の瑞己なの?






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