天使のいいなり
「光莉から、話聞いたよ。ゴメンな…。」

「ううん。悠斗先輩が謝るコトじゃないよ。」


私は首を横に振りながら言った。



「俺達、なんでこうなったんだろうな…。」

悠斗先輩がポツリとつぶやき、空を見上げた。
私も空を見上げる。

見ている空は同じだけど、悠斗先輩はどんな気持ちで空を見てる?



「私、図書室から悠斗先輩と光莉ちゃんを見たトキ、息が止まりそうだった。なんで?どうして?って…。」

「里緒、本当にわりぃ。俺があのトキちゃんと…、」

「違うよ。悠斗先輩を責めるつもりなんて、全然ない。もちろん光莉ちゃんも…。むしろ、光莉ちゃんには教えられたの。思いを伝える大切さ。自分で努力しなきゃいけないってコト。」



「……………。里緒は、ちゃんと前に進んでんだな。」


悠斗先輩が私を見る。
ほっとしたような、少し寂しいような、そんな感情が混ざった顔をして。



「全然だよ。みんなのおかげで、やっと気づけたの。悠斗先輩…。迷惑かもしれないけど、聞いて欲しいの。」



< 184 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop