天使のいいなり
投げ返そうとしたトキ、瑞己がやって来た。


「なにやってんの2人とも。紗英さんもう部屋に行っちゃったよ。」



私とアッキーの顔をじーっと見る。
そうかと思えば、1人納得したかのように頷き始める。


「はーん、そういうコトか。もうあきらめなよ。」



おっ、瑞己ってばたまには良いコト言うじゃん。
そーよそーよ。
団体旅行なんだから、そんな邪まなコトは考えないで、スッパリ諦めるべきよ。


今度は私がうんうんと頷いていると、ガッチリと瑞己に身体をつかまれた。



「へ?ちょっ、ちょっと瑞己ってば何すんのよ!!」


何故に私をつかむ?
つかむ相手、間違ってるでしょ?こんなトキ、そんなボケ必要ないんですけど?


「ちゃんと空気読みなよ。じゃ、アッキーくん。頑張ってねー。」

「お、いいトコあんじゃん。サンキュー。」



ニヤッと笑い、瑞己が一言。

「この貸し、高くつくからね。」




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