天使のいいなり
「お、始まった。電気消すか。」


夏目センパイが部屋の電気を消す。

真っ暗になり、夜空には色とりどりの花火が、次々と打ち上げられる。



キレイ…。
センパイと一緒に見てるからかな?
今まで見た花火で、1番キレイって思っちゃう。


センパイも花火を見ている。
センパイはこの花火を見て、何を思っているのかな?



「ゴメンなさい。プレゼント何も用意してなくて。」

「気にすんなよ。夕飯でも言ったとおり、この時期だから“誕生日だー!”って祝ってもらうコトってあんまなくってさ。旅行に来れたってコトが、俺にとって最高のプレゼントだよ。大勢で誕生日過ごすなんて、久しぶりだな…。」



センパイは今幸せ?
隣にいるのが、私でも喜んでくれる?



「夏目センパイ。20歳の誕生日、おめでとうございます。」

「…ありがとう。来年もこんな風に過ごせるかな…?」


大輪の菊の花が連続して夜空に浮かび上がる。
花火大会の終わりが近づいているのかな。


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