天使のいいなり
絵を描いてもらうって、もっと苦痛なのかなって思ってた。
ただ待ってるだけで、動いちゃダメみたいなのを想像してたから。


だけど、時間はあっという間に過ぎていった。

それって凪さんだからなのかな?
描いてもらってる時間が、すっごく楽しかった。



「出来た。本当はちゃんと色も付けたかったんだけどね。誰に渡せばいいかな?」

「言い出しの里緒ちゃんに渡して。」



渡された絵を受け取り、3人で覗き込んだ。

すごーい、夏目センパイも瑞己もそっくりに描けてる。
絵の中のセンパイもカッコイイ。
こう見ると、瑞己もなかなかカッコイイんじゃない?


「里緒ちゃん良かったね。実物よりもキレイに大人っぽく描いてもらって。」

「ちょっと瑞己、それってどーいうコト?」

「べっつにー。それより、絵の俺もカッコイイからってひがんでうずまきほっぺとか毛虫眉毛とかイタズラすんなよ?」



瑞己ってば、また私のコトからかって遊ぶんだから。
するワケないじゃん。


「額に入れて、部屋に飾るんだもん。」


絶対しないよ、そんなコト。だって、大切な『思い出』だもん。

絵を見ながら、自然と顔がゆるんじゃう。
あったかい気持ちにさせてくれる絵。
とってもいい笑顔の3人が、絵の中に納まっていたんだから…。



< 237 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop