天使のいいなり
廊下から足音が聞こえてきた。

病室の入り口を見ると、お父さんとお母さんと、紗英ちゃんが入ってきた。



「お父さんってば、どうしているの?発掘忙しいんじゃないの?」


私の第一声を機に、みんなが駆け寄って来た。




「娘の一大事に、発掘なんかしてる場合じゃないだろ?」

「里緒ー、よかったぁー。」



「ねぇ、瑞己は?一緒じゃないの?」



みんなの言葉が止まった。

どうしてそんなに驚くの?
私、なにか変なコト言ってる?


「里緒ってば、なに言ってるの?瑞己って誰?大学の友達…?」

「誰って、親戚の子だよ。家に来たでしょ?夏休みの間、預かるコトになったって。お母さん喜んでたじゃん。息子が出来たみたいで嬉しいって。」



みんなが顔を合わせ、困った顔をしている。

誰も、瑞己のコトを覚えていない…。





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