天使のいいなり
夏目センパイが箱を手にする。


「開けてみていい?」


私はコクン頷いた。

センパイが箱を開け、中から出てきたのは腕時計。




「夏休み前に、アッキーに壊されちゃったでしょ?それ以来つけてなかったから。毎日使ってもらえたらなぁって思って…。」


自分が選んだものを、好きな人が身につけてくれるってすごく嬉しい。
どうかな?気に入ってくれたかな?
それとも困る?もう新しいの買っちゃってた?



「知ってたの?」

「だって…、センパイのコト見てたから。初めて会ったトキから、センパイに夢中なんだもん…。」

「ふーん。」


センパイにしては珍しくニヤついた笑顔。
なんか企んでるみたいな。


アッキーじゃあるまいし…。
まるで子どもが、今からイタズラしちゃいそうな顔。


こんなセンパイ見るのも初めて。
ちょっと、ドキドキしちゃう…。



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