天使のいいなり
「俺も初めて見たトキから、気になってた。」

「初めてって、アッキーから紹介されたあのトキから?」

「ううん。もうちょっと前。」



えぇ?
もうちょっと前って?

私と夏目センパイが初めて会ったのって、アッキーと待ち合わせしたトキじゃないの?
もう、分かんないよぉ。



そう言うと、夏目センパイは携帯電話を取り出した。



「はい。」


見せられた待ち受け画面。



「コレって…。」




画面の中には、芝生の上で眠っている私がいる。

いつだろ、コレ。
髪には数枚、桜の花びらがついていて。
このアイボリーのワンピース。お気に入りで、春によく着てたっけ。

入学して、まだ間もない頃…。



「このトキから、俺の恋は始まっていたんだな。」


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