天使のいいなり
早く家に帰らなくっちゃ。


駆け出した足が再び止まる。


ダメだよ。買い物してから帰らなきゃ。今日は頑張ってご馳走つくらなきゃ。そうだ、ケーキも買っちゃお。



玄関のドアを開け、こう言うの。

「ただいま。」


そうするとね、あの人が迎に来てくれるんだ。



「おかえり。すごい荷物だけど、どうしたの?ケーキまで。」



私の前に差し出された大きな手。
へへっ。甘えちゃお。

差し出された手に荷物を渡し、2人で一緒にリビングに行く。
開いていた窓から、心地よい風が吹いてくる。




「あのね…。」


私はうんと背伸びをして、彼の耳元でこう言った。




< 288 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop