天使のいいなり

●探検

「ココかぁ。」


正門前で、キャンパスを見ながらしみじみと一言。

さっきの瑞己とは、まるで別人。

今度は無邪気な子ども。
目を輝かせながら、辺りを見ている。
首なんか休むことなく、キョロキョロしている。

疲れないのかな?


「ねぇ。私、瀬川先生の手伝いがあるからそっちに行っちゃうけど、瑞己はどうする?」

「俺のコトは気にしないで。図書室で本読んでるから。お昼になったら迎えに来て。」


そう言うと、瑞己は走り出した。


「ちょっと、場所分かるの?」

「へーき★じゃーね、里緒ー。」


ぶんぶんと手を振ると、建物の中へ消えていく。


「変なコトしないでよー!!」

私の声、ちゃんと届いたかな?
心配だなぁ。
これじゃあまるで、保護者と生徒だよ。
…って、そのとおりか。





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