天使のいいなり
「あんまり、料理得意じゃなくってさ。しょっちゅう包丁で指切ったり、焦がしたりして。…でも、一生懸命でいつも楽しそうに料理してる姿、うっすらだけど覚えてるんだ。で、そんな母さんの唯一の得意料理が、甘い玉子焼き。美味しいって言ったら、朝食に毎日作ってさ。でも全然飽きなかったんだよなぁ。」



センパイがゆっくりと、お母さんの思い出を話してくれた。


鼻の奥が、ツーンとした。
目が熱くなってきて…。




男の人が母親のコトを、こんな風に話してくれるなんて、あまり思わなかった。

高校生のトキ、クラスの男の子がよく母親のコトを、口うるさいとか文句言ってたっけ…。




ヤダ、今ココで泣いたら、絶対センパイ困っちゃうよ。








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