天使のいいなり
あの出来事から数日経った頃、明仁から紹介したい子がいると言われた。


「妹みたいなもんかな。まぁ、近い将来俺の義妹になるんだけどね。」


義妹って…。
あぁ、紗英さんのか。


紗英さんの妹が俺らの1コ下で、同じ大学に入学したというのは明仁から聞いていた。
時々勉強を教えていたというけど、本当だか。
かえって、妹の勉強の邪魔をしていたんじゃないのか?



正直、紗英さんの妹に会うのは気が引けていた。


何度か紗英さんに会ったコトがある。
女性にしては背が高く、すらっとしていて。
美人で、勝気だけど嫌味のないサッパリした人。

紗英さんを見ると、どうしても思い出してしまう。


………彼女のコトを。

彼女と紗英さんは、雰囲気がよく似ている。
いいかげん、忘れなければいけないと思っているのに、ふとしたきっかけで僕の心に現れる彼女。





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