天使のいいなり
「里緒ー、用意出来たー?」

ドアの向こうから、瑞己の声が聞こえた。

「もうちょっとー。すぐ行くからー。」


男の人と違って、女の人は用意しなきゃいけないものが多いんだよ。

鏡の前に立って、全身チェックする。
袖が可愛いパフスリーブのTシャツに、ロールアップしたジーパン。
バーベキューだから、汚れてもすぐ脱げるようにチェックのキャミワンピも着て。

髪は邪魔にならないように、小さいけれどお団子にして。

日焼け止めを全身に塗って、美白対策はしっかりしないと。

財布に携帯電話。
ティッシュにハンカチ。
汗もかくから、タオルも持たなくちゃ。



「瑞己、お待たせ。」

「遅い。ふふ、団子ちっちゃ。」


鼻で笑いながら、お団子をつっつく。


「もう、せっかく頑張って作ったのに。崩れちゃうよ。」

「悪いって。…うん、好きだと思うな。」



??????

一体1人でなに言って、なに納得してんのよ。



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