唇を青く染めて呪いの謳を謳いながら【長編集】
だって誰も見た事ないって言うし
管理人さんだって
顔が思い出せないって言うし……
ここの管理人さんは
住んでいる人達の顔はばっちりでは無いが
大体は覚えている。
そんな管理人さんが
このマンションに住んでいる
奈落 霊子さんだけ
見覚えがないというのが不思議だった。
だから私は今日
201号室のインターホンを
押そうと思う。
確認するのだ。
本当に奈落 霊子さんという
人間が実在するのか。