唇を青く染めて呪いの謳を謳いながら【長編集】
「ごめんね、お待たせして」
「いえ」
彼女はティーカップ二つを
おぼんに乗せて帰ってくる。
そして静かにカップを
テーブルに置いた。
そして椅子へ腰かけた。
「ところで私に何か用かしら」
彼女は笑窪を作りながら
私に問い掛ける。
私も続けて笑みを零して
「えっと、実は…」
これまでの周りの噂など言う。
奈落 霊子さんは幽霊なんだってとか。
そんな話をしていいのか少し躊躇ったが
口が勝手に動いてしまった。