唇を青く染めて呪いの謳を謳いながら【長編集】
すると彼女は眉間に皺を寄せた。
そして怒りの詰まった声を出す。
「何それ。酷いわ!
最低よ! 私は幽霊なんかじゃないわ!」
「あ、すいません…」
私は一応謝る。
すると彼女は優しく言った。
「いいのよ。別に。もう怒ってないわ」
俯いていた顔を上げる
すると目の前には
綺麗な奈落 霊子という女性は居なかった。
私の視界に入り込んだのは
ぐちゃぐちゃに潰れていて
血が流れ出している人間の顔だった。
「きゃああ!」
私は思わず悲鳴を上げた。