唇を青く染めて呪いの謳を謳いながら【長編集】




――


「ねえ、知ってる?
あそこのマンションの201号室の奈落 霊子さん」

「誰、それ」

「なんかねえ、五年も前に部屋で夫にナイフで刺されて
死んだ女。201号室はね、まだ部屋が血塗れなんだって」


「いやだあ。怖い」


「それでさ、その201号室のインターホンを鳴らすと
綺麗な声が聞こえてきて、中へどうぞ、鍵は開いているわ。
って中へ誘われるそうなの。
中へ入ると幻覚を見るそうよ。血塗れの部屋が綺麗な部屋に見えたり。
それで
入ったらもう二度と出てこられない。

奈落 霊子さんに殺されるんだって」


「へえ」




二人の女の子の小学生はそう話しながら
けんけんぱをして遊んでいた。













end.
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