愛しいキミへ
「…雅樹くん。」

声をかけられて顔を上げると、目の前に由香利の姿があった。

「久しぶり。雅樹くんってばいつもメール無視するんだもん。」
「…悪い。」

俺の隣に座った。
付き合っていた頃と違い、肩あたりまでの長さの髪に緩くパーマがかかっていた。

「ううん。会ってくれて良かった。会いたかったの。」

嬉しそうな言葉に何も言えなくなった。
…隣を見なくてもわかる由香利からの視線。
俺を見つめている・・・。

「雅樹くん。私まだ雅樹くんが好きなの。また…私と付き合って…。」

きゅっ
俺の服の裾を掴む。
会って何を言われるかわかっていた。
深く息を吸って、言おうと思っていたことを言葉にしていく。

「由香利。メールでも言ったけど、俺には今彼女がいるんだよ。だから…付き合うことは出来ない。今も…これからも。」
「…知ってる。沙菜でしょ？だから、告白しにきたの。」
「…は？」

由香利の言葉の意味が分からずに、顔を見た。
視線がぶつかる。
真っ直ぐな瞳が俺を見つめていた。

「沙菜はまだ悠太先輩を忘れてないんでしょ？そんな人と付き合って幸せなの？」

思わず言葉を失った。
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