愛しいキミへ
幸せだと断言出来ない自分にショックを受けた。
沙菜の隣に居られて幸せなはずなのに・・・

「私は雅樹くんだけを見てるよ?私は誰よりも雅樹くんが好きだよ!私なら、想ってあげれる!」

すがるように伝えてくる。
由香利の頬に涙が流れる。
大きな瞳からポロポロと・・・
流れる涙を拭うこともなく俺を見つめる。
由香利の気持ちも分かる・・・
想われてなくても、想いたい。
そばにいたい。
けど・・・答えることは出来ない。

「…想われてなくても、沙菜だけを想いたいんだよ。ごめん。」
「聞きたくないっ!!私は雅樹くんを愛してるの!」

涙で濡れた顔を俺に近付けてきた。
ぐいっ
とっさに由香利の体を掴み、自分から離す。
沙菜以外の女とキスはしたくないんだ。

「…愛してるとか簡単に言うな。」

由香利の気持ちから逃げるために、冷たく言い離す。
ずっと俺を見つめていた瞳が見えなくなる。
俯いて、ポロポロと涙が下へと落ちていく。

「…一度くらい…私を…見てよ…。」

絞り出すように放たれた、小さな声。
どれだけ酷いことをしていたか・・・実感した。

「ごめん…ホントにごめん。」

頭を下げて謝る。
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