愛しいキミへ
「…誰にとは教えられないけど、告られてた。」

本当の話を・・・告られてたことを言ったら沙菜はどう思うんだろ。
どんな反応をするんだろ。
彼氏が告られてたって知ったら──

「へぇ〜モテるんだね♪誰に!?」
「…女子に」

ズキッ
・・・普通、自分の彼氏が告白なんてされたら、ヤキモチ妬くもんじゃね?
俺は沙菜が告られるなんて絶対やだよ。
─これが気持ちの温度差なのかな
俺の気持ちなんかわかってない沙菜は、どんどん追求してくる。

「女子って…それはわかってるよ。誰だか知りたいの〜!」

ちょっとはヤキモチ妬けよ・・・
泣きて〜

「秘密だよ。ただ超可愛い子だったな♪」
「そうなんだぁ。」

わざと明るく話し、DVDを再生させる。
傷ついた時間を忘れたかった。


「…もちろん振ったんだょね」
「え…?」

映画が始まって少し経った頃、ポツリと話された言葉。
横を見れば、TVの方を見たままの沙菜がいる。
・・・どことなく表情が不安げ?

「そりゃ…沙菜と付き合ってんだから、当たり前…じゃん?」

沙菜はこっちを見ない。
本当に話し掛けられたのか、不安になった。
反応もないし空耳?
< 112 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop