愛しいキミへ
マンションのエレベーターの中。
こんな小さな二人きりの時間でも、俺をドキドキさせた。

「あれ?今日は、私の家で勉強だっけ?」
「そうだよ。あっ…でもなぁ〜。」
「何よ〜。」

急に困った顔した俺を、沙菜は複雑な表情で見る。

「言いたいことあるなら言いなさいよぉ。」

エレベーターが着き、降りる。
沙菜の反応を楽しんでから、考えついたことを口にする。

「沙菜の部屋、意外とちらかってるけど、俺座る場所ある?」

バシッ!!
沙菜は、おもいっきり俺の腕を叩いて、先を歩いて家に入ろうとした。
それを追いかけて止める。
目に写るのは、見るからに不機嫌な表情。

じと〜っと見る目が怖い・・・。

「冗談だから、そんなに怒るなよ〜。」
「どうせちらかってますよーだ。もう雅樹は私の部屋入れない。」
「ちょっと、沙菜ぁ〜。」

俺の言葉を無視して、家に入っていった。
やっべ〜…本当に怒らせちゃった。
今日の勉強会なしっ!?

ため息をついて、家に帰る。
自業自得なのは、わかってるって!
ただ・・・沙菜の色んな表情見たくて。
・・・これじゃぁ、ただの好きな子いじめてるガキだな。

自分の部屋に入った俺は、すぐさま携帯を開いて、沙菜の携帯を鳴らす。
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