愛しいキミへ
夢を見た──

涙で顔が濡れた沙菜。
そのそばを離れていく悠兄の背中。

悠兄を追おうとする沙菜を、必死で引き止める俺。

無理矢理、沙菜を抱きしめる。

ふっと、煙のように消える、沙菜を抱く感覚。

見渡せば、白いだけの景色。
そこに一人の俺。


沙菜?


「私が一緒にいたいのは、雅樹じゃない。」


姿は見えないのに、聞こえてくる沙菜の声。

わかってる
だけど、離れたくないんだ

「バイバイ。」

待って
沙菜


好きなんだ




──沙菜!!
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