愛しいキミへ
友達
──夏休みも終わる頃

久しぶりに直哉と遊んだ。
予備校通いで、忙しかった直哉とは、なかなか時間が合わずに会うことが出来ないでいた。


午後14時10分─
約束の時間を少しまわたった頃に、直哉の家に着いた。

俺のマンションの最寄り駅から20分程度の駅の近くに、直哉の家はある。
今時の感じの一軒家。

ピンポ─ン

何回か来たことがあるので、慣れた感じで呼び鈴を鳴らす。
すると、目の前のドアではなく、上の窓が開いた。

「やっと来たよ。遅いから入れてやんねぇ!!」

久しぶりの直哉のおちゃらけた笑顔に、なぜかホッとしてしまった。

「そんなこと言わないで、いれてくれよ。」
「あぁ〜。久しぶりに、雅樹に会えるって楽しみにしてたのになぁ〜。」

拗ねた感じで部屋の中に戻っていった。
俺に会うの楽しみにしてたとか・・・可愛いとこあるじゃん♪

「悪かったって!俺も楽しみにしてたよ!」

直哉の姿が見えなくなった窓へと声をかける。
けれど、直哉からの返事はなく、姿も見えないまま。
まだ拗ねてんのかよ・・・て、えっ!?
このまま入れてくれねぇのかよ!?

「お〜い。直哉ぁ?」

再度、声をかけてみたものの、やはり反応はなかった。

どうしよう・・・。
困った俺はとりあえず、もう一度インターホンを押してみた。

ピンポ─ン

すると、ドアの向こう側からパタパタと、急ぎながら近づく音が聞こえてきた。
やっと開けてくれる気になったみたいだな♪
─ガチャ

「お前、拗ねすぎたよ。」

ドアが開いたと同時に笑いながら話しかけた。
…が、目の前には誰の姿もなかった。
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