愛しいキミへ
手を合わせて、頭を下げた。

「悪いっ!!」

じと〜・・・見つめてくる直哉。本当にご機嫌斜めの様子で、一言も言葉を言わない。
仕方ない。
床に手をつけ、おでこも床すれすれにまで近づけた。
まぁ、いわゆる【土下座】ってやつ。

「本当にごめんなさい。遅刻した上に、成美ちゃんと遊んで、直哉を一人にして。反省してます。」

─キィ
机に向かってた体を、椅子ごと俺の方に向け、静かに見つめてくる直哉。
その間も決して顔は上げない。

ふぅ・・
「仕方ない。そこまで謝るなら、許してやろうではないか。」

深い息と共に言われた、嬉しい言葉。
ぱっ、と顔を上げた先には久々に見た直哉の、屈託ない笑顔。
自然と俺も笑顔になった。
正座してぃた足を崩して、あぐらにかえた。

「まぁ、許すかわりに…俺と会ってない間、沙菜ちゃんと何があったか、包み隠さず聞かせてもらおかな♪?」
「は?話したじゃん。喧嘩した次の日には、仲直りしたって。それで、毎日のように勉強だよ。」

喧嘩をしたと、言っていたため仲直りしたこともメールで伝えていた。
他に話すことなんて・・・ない。

「い〜や!絶対にまだ話すことあるね!俺を誤魔化せると思ってんの?」

椅子から降りて、わざわざ俺の隣に座る直哉。
─・・・もちろん話させていただきます


喧嘩したあとに熱を出していたこと、心配をして沙菜が来てくれたこと、仲直りしたこと、そして・・・キスしたこと。
全てを話した。
もちろん、今も変わらない関係であることも。
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