愛しいキミへ
直哉の家を出ると、夏とはいえ、少し涼しくなっていた。
携帯を取り出して、時刻を見る。

【20:34】

・・・まだ遅すぎない時間だ。

リダイヤルの中から沙菜の名前を選び、発信ボタンを押す。

沙菜の話をしたら・・・直哉の幸せそうな姿を見たら・・・話したくて、会いたくなってしまった。

数回コール
「…はい。」

きゅぅぅ───
声を聞いたとたん、胸がきゅ─となった。
声だけでも、愛しくて、胸が反応してしまう。

「もしもし?雅樹?」

なかなか話し出さない俺に、沙菜が話しかける。

「雅樹〜?」
「悪い!ちょっと聞き入ってた。」
「…何に?」
「もちろん…沙菜の声♪」
「はッッ!?急になに言ってんの!」

びっくりした沙菜の声が聞こえてきた。
ちょっと照れも入ってるかな♪♪

【今日、なにしてた?】とか、他愛もない会話をしながら、駅へと向かった。
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