愛しいキミへ
「雅樹?」

パズルゲームに夢中になっていると、突然自分を呼ぶ声がした。
聞き覚えにある声に顔を上げる。

「やっぱり雅樹じゃん!久しぶりだなぁ~!」
「おぉー!タケ!久しぶり!」

中学の友達のタケの姿があり、懐かしさにテンションが上がった。
笑顔で近づいてくるタケは、中学の雰囲気のままだった。

「元気だった?つか、お前一人でなにしてんの?」
「元気だよ。タケも元気そうじゃん。待ち合わせしてんだよ。そっちこそなにしてんの?」
「俺は予備校の帰り。待ち合わせって誰?彼女!?」
「そうだよ。」
「受験生の夏にデートだなんて余裕ですねぇ~♪」

最後に会ったのは確か高二の春。
帰宅部の俺とは違い、ずっとバスケ部に所属していたため、なかなか会う時間が取れなかった。

「デートって…ただメシ食いに行くだけだし。」
「それでもデートに変わりないっしょ。」

久しぶりに会っても楽しく話せる。
友達ってこういうところが良いなと思う。
中学のころに戻った気分になった。

「雅樹ー!ごめん!お待たせ~!」

タケとワイワイ話していると、少し離れたところから沙菜の声がして、会話を止める。
チェック柄のピンクのワンピースを着た沙菜が小走りでこっちに向かっていた。

その姿を見て自然と笑顔になる。
すると、タケが驚いた様子で俺の腕を叩いた。
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