愛しいキミへ
中庭にある自動販売機でジュースを買い、近くのベンチに腰かける。
買ったばかりのジュースを一気に飲む。
心地いい冷たさが喉を流れる。

「…勉強してたんだけどな…。」

さっき聞いた先生の言葉が頭に残り、とても悔しかった。
受験本番まであと四ヶ月・・・
このままじゃ第一志望の大学は厳しい。
沙菜と勉強会なんて言っている場合じゃないのかもしれない。

「恋愛ばっかしてる時期じゃねぇんだよなぁ~。」

今日もこのあとは二人で帰り、一緒に勉強する予定だ。
俺よりも遅い時間に個別面談をする沙菜の終わりを待っている状態である。
日陰のベンチを選んだが、ジリジリとした暑さで体が汗ばんでいく。
飲みかけのジュースの缶も汗をかき、びしょびしょになっていた。

「少しでも…勉強するか。」

ずっとここで落ち込んでるわけにはいかない。
ジュースの残りを飲み干し、教室へと向かった。
< 141 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop