愛しいキミへ
「なぁんか、難しい顔してるよ?」

下駄箱に向かっている途中で、沙菜に言われた。
笑顔を作っていたつもりだったけど・・・沙菜の目は誤魔化せないか

「…別にそんな顔してないよ。」
「そう?ここにしわが寄ってたきがしたんだけど。」

ここっと自分の眉間を指差しながら訪ねられた。
せっかく二人でいるのに、俺はなんて顔をしていたんだ・・・。

「そんなことないって!俺はいつも通りだよ。」

にかっと笑顔を作り沙菜に向ける。

「そっか。私の勘違いか。」
「そうだよ。沙菜といてそんな顔するわけないじゃん!そんなことよりも、今日はどっちの家で勉強する?」
「最近、私の家だったから今日は雅樹の家!」
「了解。」

沙菜に心配をかけないように、いつも通り明るい姿を見せる。
模試の結果と面談での話だと・・・一人で勉強に集中するべきなのは、わかってる。
でも沙菜に学力が足りていないなんて言いにくい。
それに・・・
まだ第一希望の大学の名を沙菜に言っていない。
合格が難しいと言われている今、ますます言いにくくなっている。

隣を笑顔で歩く沙菜を見る。

一緒にいたい

その想いばかりが強くなる。
バカみたいだけど少しでも一緒にいたいと思う。
一緒にいないと沙菜が離れていってしまう・・・
今でもそんなことばかり考えてしまう。
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