愛しいキミへ
「やっべ〜、めっちゃハズイ。」

電話を通じて、悠兄の嬉しそうに照れた笑顔が想像出来る。

「さっき告られたばっかなのに、沙菜のヤツ行動早すぎ…。」
「付き合ったってことは、悠兄も…沙菜が好きなんだよね?」
「その質問恥ずかしくね!?」

そう言って悠兄は笑った。
笑った後、真剣そうなのにどこか優しげな声で話し出した。

「…沙菜のことは前から好きだったよ。でも、告って振られたら一緒にいられないじゃん。…だったら幼なじみでいようって思ってたんだよ。」
「そう…なん…だ。」
「あぁ〜もうこの話し止めっ!!照れるし。」

別の他愛もない話を少しして電話を切った。
電話を切った後、呆然とベッドに腰掛けて何も出来なかった。

─ポタッ

涙が頬を伝って落ちた。

ずっと2人は両想いだった。
悠兄も俺と同じように、昔から沙菜を想っていたんだ。

初恋は実らないって言うけどさ・・・
沙菜と悠兄は初恋同士のはずなのに・・・実ってんじゃん。
何で俺だけ、実らないわけ?
・・・不公平だよ。
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