愛しいキミへ
「あのなぁー。毎日のように予備校なのに、参加する時間なんてねぇよ。」

確かにそうか・・・
受験生って本当にやだわ・・・
クラスの半分以上の人が、文化祭に目もくれずに帰っていっていたのを思い出した。

「今日は気分だけでも楽しもうぜ!!」

少し暗くなってしまった直哉の背中を叩き、少し先の教室を指差す。

「お化け屋敷入ろうぜ!!今年は怖いかなぁ~♪」
「いや、去年の俺のクラスには敵わないだろ!」

二人でテンション高く、お化け屋敷の列に並んだ。
さすが文化祭の花形のお化け屋敷。
結構な人数が並んでいて、入るのに時間が掛かりそうだ。

「直哉のクラスが去年、お化け屋敷だったけ?」
「そうだよ。俺はお化け役♪入った?」
「入ったよ。結構こってて面白かった。倒れてるロッカーから飛び出てくるやつがビビったわ。」

正直に去年の感想を言うと、なぜかニヤニヤしだす直哉。

「なんだよ…。気持ち悪いな。」
「…その雅樹がビビったお化けやったの…俺♪」
「マジで?…うわ~なんか悔しい…!」

確か・・・ビビり過ぎて叫んだんだよね・・・
他のお化けとか仕掛けは平気だったのに。
まさかあれが直哉だっただったとは・・・

「そろそろ順番くるぜ♪今年も雅樹の叫び声聞いてやるよ!」

嬉々として、入り口に近づいていく直哉の背中に誓った。

絶対に叫ばない

っと・・・。
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