愛しいキミへ
俺がヤキモチ妬きなのを知っていて、沙菜に先に声をかけた。
・・・さっきのお化け屋敷での悔しさを今、発散しているわけね・・・
実際、直哉に先に沙菜を見つけられて、さらに先に声を掛けられて、モヤッイラッとしているのは事実である・・・。

「あっ!直哉くんと雅樹!」

笑顔で俺たちの名前を呼ぶ沙菜。
声を掛けられた直哉の名前を先に言った。
・・・小さい男だと思われるかも知れないが、やっぱりモヤッとした。

沙菜は友達と一緒に俺らのそばに来てくれた。

「やっぱり二人で回ってたんだね。」

にこにこ話す沙菜はとても楽しそうだ。
直哉は沙菜の友達と知り合いだったようで、仲良く話し出した。
ふと見ると、沙菜の手には船のような形の紙皿に乗ったたこ焼き。

「直哉が俺と回りたいって言うからさ。なぁたこ焼きってどこで売ってる?」
「えっとねぇ~中庭で売ってるよ。一個食べる?」

差し出されたたこ焼きは買ったばかりのようで、まだホカホカと湯気を立てていた。
隙間なく6個乗っているのを見ると、沙菜はまだ食べていないようだ。

「沙菜が食べてないのに貰えないよ。これから買いに行くし。」
「えぇ~。別に気にしないで良いよ!6個も食べたら他の物が食べれないもん。」
「まだ何か食べる気なの?」

からかうように笑っていると、たこ焼きを竹串で1個取って差し出してくれた。
沙菜が持っているまま、たこ焼きを頬張る。
熱さが口の中を襲った。
やべ~
どう見ても熱そうだったのに・・・油断した
< 155 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop