愛しいキミへ
「自然にやっててさ、二人が本当に【恋人同士】って感じだったんだよね。」

さっきまでからかっていた笑いとは違った笑顔が俺に向けられる。

「幸せそうだなーって思ったよ。」
「…急に真面目になるなよ。どう言えばいいか、わかんなくなるわ。」
「沙菜ちゃんの気持ち…少しづつ、雅樹に向いているといいな。」

涼しい風が二人の間を吹き抜ける。
お互い何も言わずに、たこ焼きを食べ続けた。

「サンキューな。」

ポツリっと直哉にお礼を呟く。
【恋人同士】って言われて本当に嬉しかった。
もっと・・・もっと・・・
他の誰から見ても恋人に見えるようになりたい

───沙菜に好きだと思われたい


「…そろそろ、どっか行く?」

食べ終わった器を持ち、直哉が立ち上がる。
俺も立ち上がり、近くに設置されたゴミ箱に器を捨てた。
文化祭用に段ボールで作られた簡易ゴミ箱は、すでにゴミで溢れていた。
回収係の文化祭委員は大変そうだな・・・

「この1-6がやってる【犯人を探せ!!】って楽しそうじゃね?」

パンフレットを広げ、1-6の教室を指差した。

「…どんなのか想像出来ないんだけど。気になるから行ってみようぜ♪」

直哉もノリノリ♪
行くところも決まり歩きだした。
< 158 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop