愛しいキミへ
タケだって受験をするから忙しいのに・・・
俺の知らないところでの気遣いが嬉しく、胸がじーんとした。

「ありがとな。…ちゃんと読むって伝えてくれるか?」
「りょーかい。じゃあな!若井とうまくやれよ。」

帰っていくタケの後ろ姿は、オレンジの夕日に照らされて、なんだか頼もしく見えた。

「本当に良いヤツなんだな。」
「…あぁ。」
「…手紙、ちゃんと読めよ?」

わかってるっと言いながら、封筒を開く。
中には一通の便箋。
書かれている言葉は少なかった。

【雅樹くんへ

しつこいけど私はまだ雅樹くんが好きです。
もう一度付き合いたいって思う。
受験が終わったら、会って下さい。

受験が終わったら連絡します。

由香利。】

変わらず一途な由香利の気持ちが伝わってくる。
こんなに傷つけて、最低な俺なのに・・・

「…なんだった?」

隣にいる直哉は、手紙の内容が気になる様子。
いつも由香利からのメールを普通に見せている。
説明する手間が省けるから。
でも・・・この由香利からの気持ちが、ひしひしと伝わる手紙は見せちゃいけない気がした。
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