愛しいキミへ
「……なにが言いたいの？」

怒ったわけじゃない。
でも、俺と沙菜の関係や事情を知っているのに「何を言ってるんだ。」っと思って、声のトーンが落ちてしまった。

「雅樹が沙菜ちゃんのそばにいれるだけで良いって知ってるよ。でも、今日の二人を見てさ、思ったんだよ。いつまで沙菜ちゃんに指輪をつけさせとく気なんだって。」
「……。」
「あれじゃ、いつまでも先輩のこと忘れないんじゃないの？」
「……。」
「そばにいるだけで本当にいいのか？」
「……。」
「由佳利ちゃんのそばにいた方が、雅樹は幸せなんじゃない？」

直哉の質問に全て答えられなかった。
ずっと無言でいる俺に、さらにつっこんでくる。

「本当は沙菜ちゃんに想われたいって思ってんじゃないの？」
「…うるせーよ！それ以上言うんじゃねぇ！！」

直哉のしつこさに怒鳴った。
・・・全部、図星だったから感情的になってしまった。

「…悪い。」

直哉が謝ったが、悪いのは俺だ。
自分の心を当てられて、隠したくて怒鳴った、俺がいけない。
今日の昼間に思ったじゃないか『沙菜に想われたい』って・・・

「…怖いんだよ。沙菜に気持ちを要求して、離れていってしまうんじゃないかって…。」
「雅樹…。」
「ホントはもう指輪外して欲しいし、好きって想われたいよ。」

直哉にまで隠してどうするんだ
それに自分の気持ちを隠して、いつまで幸せだと思えると言うんだ？

「…怒鳴って悪かった。今は…まだ決心つかないよ。」
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